現代では、色々な事情から「サプリメントだけで生きていけたらいいのに」と考える方もいます。
パッと思いつくのは、
・忙しすぎて食事をする暇がない。
・低カロリーで栄養を摂ることで、ダイエットを促進したい!
・足りない栄養はサプリで補給して、ジャンクフードだけを食べていたい!
・(食事の準備や、噛むことなども含めて)食べること自体が面倒くさい。
などでしょうか。
「100%サプリメントだけで生きる!」とまで思わなくても、「野菜ジュースとサプリメントだけ」とか「一日一食とサプリメント」とか、色々な組み合わせは考えられますね。
今回は分かりやすいように、「サプリメントだけで生きていく」ことについて考えてみようと思います。
点滴で生きている人もいるので、栄養があれば生命維持は出来ると思いますが、「健康に」生きられるかどうかについて考えてみます。
もくじ
個人的な結論
まず僕の意見ですが、食事をおろそかにし、サプリメント主体で栄養補給するのは全く賛成できません。
そもそも、「サプリメントだけで生きられる」という発想の背後には、「食事以外の手段で栄養補給ができるなら、食事は必要ない」という考えがあります。
つまり、「食事をすることの価値は、栄養補給だけである」という捉え方です。
僕は、この考え方に反対です。
食事という行為は、栄養補給のためだけのものではないと思います。
皆様も、「食事をすることの意味」について考えながら、読み進めて頂けたらと思います。
また「食事を通して栄養補給をする」という行為の中では、体内のたくさんの機能が働いています。そして、それらの機能は食事のためだけにあるのではないはずです。
具体的な問題を考えていきます。
まず、重要な考え方3つ
サプリメントだけで生活する問題点を挙げていきますが、重要な考え方は以下の3つです。
①サプリメントのみの生活は、食事する際の過程を大量にスキップしてしまうこと。
②人体の機能は、使わずにいると衰えてしまうこと。
③人体のどこかが衰えると、他の場所にも負担がかかること。
是非、この3つに着目して考えて頂けたらと思います。
①食事を楽しむ、味わうことが無くなる
「本当はこんなに要らないのに、つい食べ過ぎちゃった」ということがあるように、食事には「五感による楽しみを通して、精神的な満足を得ること」も含まれています。
食事を楽しみに待ったり、料理を見て美味しそうだと思ったり、嗅覚で香りを楽しんだり、味覚で味を楽しんだり、空腹が満ちていく心地良さを得たり…。
そのような肉体的快楽を楽しむことは、こわばった心と体を楽にし、ストレス発散にも貢献しています。
また、親しい人と会話しながら食事をするのも(そういう相手がいれば)楽しいものです。
食事を全てサプリメントに置き換えるということは、これらの楽しみを完全に手放すということです。
生きていればツラいことはありますが、だからこそ食事を通してリラックスし、フッと落ち着く時間は必要だと思います。
※
中には、拒食症など精神的な事情で、食事の楽しみを全く感じられない状態の方もいると思います。
あるいは、「食の楽しみを捨ててでも●●せねばならない」という、後ろ向きな動機に囚われている方もいるかもしれません。
そういう場合は幸福度を上げるためにも、出来る限りその事情の改善を目指すべきだと思います。
このサイトがその助けになれるよう、僕も更新を頑張ります。
②咀嚼する力が衰えてしまう
アゴの力は案外衰えやすいものです。
よく「現代人は固いものを食べる機会が減って噛む力が弱くなった」などと言われますが、あごの力が衰えることの弊害についてはたくさんのデータがあります。
このことについては別の記事を書きたいと思います。
③消化・吸収能力が衰えてしまう
人の消化器官は、入ってきたものを細かく分別する力を持っています。
食べ物を消化し、栄養素を分別し、必要なものは吸収し、不要な成分は代謝(排泄)に回します。
栄養をサプリメントで摂取すると、栄養素は最初から吸収しやすい状態で消化器に入ってきますから、人体は色々な取捨選択をする必要がなくなります。
そんな状態が続くと消化・吸収機能が退化してしまい、普通の食事をする時にちゃんと栄養素を吸収できなくなってしまう可能性があります。
④栄養過剰、カロリー不足、満腹感の喪失
人間の体は、食べる必要があれば「お腹空いたな」と感じ、必要無くなれば「もういらない」と感じる機能を持っています(満腹中枢)。
しかし食事の代わりにサプリメントを摂るとカロリーが少なく、満腹感が乏しいまま栄養が補給されてしまうため、今の自分が栄養不足なのか過剰なのかよく分からなくなってしまいます。
食欲は人間にとって「自分が食べるべきかそうでないか」を教えてくれる貴重な機能なので、サプリメントだけの生活で退化させてしまうと適量の食事が出来なくなりかねません。
僕も食べ過ぎやすい方です。
いっそのこと食事をやめてサプリメントだけで生活したい!そうすれば痩せるのに!という気持ちはよく分かります。
食欲というのは止まらなくなったりして、当てにならないことも多いですからね。
でも、そうならそうで原因を探して、食欲を正常に作用させる方法を考えた方が良いと思います。「食べ過ぎを根性で我慢し続ける」というアプローチは常人には無理です。
最後に 食べられるのは、尊いこと
人間にとって、「食べて、消化し、吸収する」という機能は生命維持に不可欠なものです。
何らかの理由でその機能が衰えて食べられなくなると、生命力が落ちていきます。(かといって無理には食べない方がいいのですが)
栄養補給をサプリメントのみに頼ると、消化・吸収をはじめ様々な機能を退化させる可能性が高く、生命力そのものの衰退にすら繋がりかねません。
もしサプリメントだけで生活する人が増えて、その人たちが子孫を残していけば、それに適応する人は生まれてくるかもしれませんが、
その人たちに、普通の食事を消化・吸収・代謝する能力はないかもしれません。これは退化だと思います。
何でもかんでも自然が一番だ!とは思いませんが、食事くらいは、人間本来のやり方に従った方が健康に生きられそうです。